はじめに
2カ国留学とは、フィリピンなど物価の安い国で英語の基礎力を身につけた後、オーストラリアやカナダなどの欧米圏で本格的な留学やワーキングホリデーを行う留学スタイルです。
「費用を抑えながら効率的に英語力を向上できる」として2014年頃から注目を集めていますが、実際には多くのデメリットや落とし穴が存在します。留学エージェントが積極的に宣伝するメリットの裏に隠れた、現実的な問題点を知らずに渡航すると、期待していた成果を得られない可能性があります。
この記事では、2カ国留学を検討している方が後悔しないよう、実際の体験談を交えながらデメリットと対策を詳しく解説します。
2カ国留学の主要な7つのデメリット
1. 想像以上に高額な留学費用
フィリピンの物価上昇で「格安留学」は過去の話
2カ国留学最大の売り文句である「費用を抑えられる」は、もはや現実的ではありません。
フィリピンの物価は2000年から2023年にかけて約2.4倍に上昇しており、「格安留学先」としてのメリットが
大幅に減少しています。
ビッグマック指数で比較すると、日本が450円に対してフィリピンは約430円相当となり、
物価差はわずか20円程度です。さらに以下の追加費用が発生します:
- 航空券代の増加:日本→フィリピン→欧米の3回分のフライト
- 燃料費高騰の影響:2022年以降、航空券代が大幅に値上がり
- 円安の進行:5年前200万円で済んだ留学が現在240万円必要
- ビザ申請費用:2カ国分の手続き費用
具体的な費用比較例
- フィリピン3ヶ月+カナダ9ヶ月:約280万円
- カナダ1年間のみ:約350万円
以前よりも、価格差は少なくなっています。
2. 長期間の時間確保が必要
2カ国留学では最低でも8ヶ月〜1年半の期間が必要です。内訳は以下の通りです:
- 1カ国目(フィリピン):3〜6ヶ月
- 移動・準備期間:1〜2週間
- 2カ国目(欧米):6ヶ月〜1年
この長期間を確保できる人は限られており、以下のような問題が生じます:
- 社会人の場合、退職が必要になることが多い
- 復職時のキャリアブランクが発生
- 大学生でも休学が必要な場合がある
- 家族との時間や人生設計への影響
3. 治安・安全面のリスク
フィリピンの治安状況
外務省の海外安全情報によると、フィリピンは国全体が危険レベル1「十分注意」以上に指定されており、
地域によってはレベル2「不要不急の渡航中止」となっています。
フィリピン国家警察の統計(2021年)では、日本と比較して:
- 強盗:約4倍
- 殺人・性的暴行:約6倍
- 銃器を使った犯罪も頻発
実際のリスク例
- 学校外での盗難・強盗被害
- 夜間外出時のトラブル
- 交通事故(道路状況が悪い)
- 食中毒や衛生面での健康被害
多くの語学学校では門限制度や警備体制を整えていますが、完全にリスクを排除することは困難です。
4. 限定的な国際交流
日本人・韓国人に偏った環境
フィリピンの語学学校では、生徒の70〜90%が日本人と韓国人で占められています。
この環境では以下の問題が生じます:
- 多国籍な友人関係を築きにくい
- 日本語を使ってしまう機会が多い
- 欧米系の学生との交流が限定的
- アジア圏以外の文化に触れる機会が少ない
一方、欧米の語学学校では南米、ヨーロッパ、中東など多様な国籍の学生と交流できるため、2カ国留学の国際交流面でのメリットは限定的です。
5. 英語学習の効率性に疑問
マンツーマンレッスンの落とし穴
フィリピン留学の特徴であるマンツーマンレッスンは、一見効率的に見えますが以下の問題があります:
- グループディスカッション能力が身につかない
- 複数人での会話についていけない
- 実際の職場や学校環境に適応しにくい
- 先生のレベルにばらつきがある
欧米到着後、グループレッスンに参加した際に「フィリピンでは話せたのに、グループだと全然ダメ」という体験談が多数報告されています。
6. 生活環境の適応困難
フィリピンの生活環境
- インフラの不安定さ:停電・断水が頻繁
- 衛生面の問題:食事や水質への不安
- 気候の厳しさ:高温多湿、台風シーズン
- 交通渋滞:移動に予想以上の時間がかかる
これらの環境に適応できず、ストレスで英語学習に集中できない学生も少なくありません。
7. 2カ国目での適応期間の長期化
新たな環境への再適応
2カ国目に到着した際、以下の課題に直面します:
- 住居探し:土地勘がない中での部屋探し
- 仕事探し:現地の就職活動システムの理解
- 生活基盤の構築:銀行口座開設、携帯契約など
- 文化・習慣の違い:フィリピンと欧米の大きなギャップ
この適応期間中は英語学習や就労に集中できず、貴重な時間を無駄にしてしまうリスクがあります。
実際の2カ国留学体験談

失敗事例:Aさん(24歳・女性)
プラン:フィリピン4ヶ月→オーストラリア8ヶ月
「フィリピンでの4ヶ月間、確かに英語は上達しましたが、オーストラリアに着いてから現実を知りました。仕事探しに2ヶ月もかかり、その間は語学学校代と生活費で貯金が底をつきそうに。フィリピンで慣れ親しんだマンツーマンレッスンと違い、職場では複数人での会話についていけず、最初の3ヶ月は本当に苦労しました。
結果的に、最初からオーストラリアに1年間滞在していた友人の方が、現地での人脈も豊富で良い仕事に就けていました。費用面でも、航空券代や2回分の準備費用を考えると、1カ国留学とほぼ変わらない金額になってしまいました。」
成功事例:Bさん(26歳・男性)
プラン:フィリピン3ヶ月→カナダ1年
「事前に2カ国留学のデメリットを十分調べて対策を立てました。フィリピンでは治安の良いエリアの学校を選び、マンツーマンレッスンだけでなく、グループクラスも積極的に受講。カナダ渡航前に現地の情報収集を徹底し、住居と仕事の目処をつけてから渡航しました。
結果として、カナダでの適応期間を最小限に抑え、充実したワーホリ生活を送れました。
ただし、これは事前準備に相当な時間と労力をかけた結果であり、『簡単で安い留学』ではありませんでした。」
2カ国留学を成功させるための対策
事前準備の徹底
- 現実的な予算設定
- 追加費用を含めた総額を算出
- 緊急時の予備資金も準備
- 学校選びの慎重な検討
- 治安の良いエリアの学校を選択
- グループレッスンも提供する学校を優先
- 2カ国目の事前準備
- 現地情報の収集
- 住居・仕事の事前リサーチ
代替案の検討
オンライン留学+欧米留学
最近注目されているのが、フィリピンのオンライン語学学校を利用する方法です:
- メリット:航空券代・滞在費の節約、安全な環境での学習
- 費用:従来の2カ国留学より50万円以上安い
- 効率性:日本で働きながら英語学習が可能
よくある質問(FAQ)
Q1. 2カ国留学は本当におすすめできませんか?
A1. 十分な予算と時間があり、事前準備を徹底できる方には価値のある選択肢です。ただし、「安くて簡単」という期待は持たない方が良いでしょう。現在の状況では、1カ国留学やオンライン留学との組み合わせの方がコストパフォーマンスが高い場合が多いです。
Q2. フィリピンの治安は本当に危険ですか?
A2. 適切な注意を払えば大きな問題はありませんが、日本と比べて犯罪率が高いのは事実です。学校選びや行動範囲の制限など、安全対策を徹底することが重要です。
Q3. 2カ国留学で英語力はどの程度向上しますか?
A3. 個人差がありますが、TOEIC換算で200〜400点程度の向上が期待できます。ただし、同じ期間を1カ国で集中して学習した場合と比較して、必ずしも効率的とは言えません。
Q4. 2カ国目で仕事は見つかりますか?
A4. 英語力と現地での準備次第です。フィリピンでの学習だけでは、現地の就職活動に必要なスキルが不足する場合があります。事前の情報収集と準備が成功の鍵となります。
Q5. どのような人に2カ国留学は向いていますか?
A5. 以下の条件を満たす方に向いています:
- 十分な予算と時間がある
- 事前準備を徹底できる
- 複数の文化体験を重視する
- リスクを理解し受け入れられる
まとめ
2カ国留学は魅力的に見える留学スタイルですが、現実には多くのデメリットと課題が存在します。特に費用面でのメリットは大幅に減少しており、「安くて効率的」という従来のイメージは見直す必要があります。
主なデメリットの要点:
- 物価上昇により費用メリットが大幅に減少
- 長期間の時間確保が必要
- 治安・安全面のリスク
- 限定的な国際交流環境
- 英語学習効率の疑問
- 生活環境への適応困難
- 2カ国目での再適応期間の長期化
2カ国留学を検討している方は、これらのデメリットを十分理解した上で、自分の目標や状況に最適な留学プランを選択することが重要です。場合によっては、1カ国集中留学やオンライン留学との組み合わせの方が、より効率的で経済的な選択肢となる可能性があります。
留学は人生の重要な投資です。表面的な情報に惑わされず、現実的な視点で慎重に検討し、自分にとって最良の選択をしてください。
2カ国留学を検討中のかた、フィリピンに不安のある方は
ぜひ一度ご相談ください。




